【社内AI人材の育成③】統計検定|1級・準1級・2級の難易度は?データサイエンス検定も始まる?QC検定とは何が違う?特徴をご説明します!

本稿では、基本情報技術者の続きで、統計検定についてご紹介します。

想定される読者

・AI人材の育成を考えている人事担当者
・統計検定の受験を検討している方

統計検定とは?

統計質保証推進協会(Japanese Association for Promoting Quality Assurance in Statistics)が主催している資格です。データに基づいて客観的に判断し、科学的に問題を解決する能力を証明するための資格です。

統計検定の概要

統計検定全体の概要は原則下記のようになっています。

受験資格なし
種別1級、準1級、2級、3級、4級、
統計調査士、専門統計調査士 ※
実施概要1級:統計数理、統計応用
1級以外:試験1つ
出題範囲種別次第
受験費用種別次第
実施回数CBT、PBT
公式HPhttps://www.toukei-kentei.jp/

※データサイエンス試験が2021年開始予定
CBTはコンピュ―ターで受ける試験、PBTはペーパーで受ける試験を意味します。

種別によって試験方法が異なるので、種別に分けた概要を下記に示します。2021年試験に関する内容です(2021年1月時点)。コロナ禍以前のPBT試験は、2級以下が年2回、1級,準1級が年に一度の開催となっていました。したがって、CBTに適応していない1級,準1級の受験は、年に1度しか行われていませんでした。

種別受験費用(PBT)実施方法
1級10,000円(税込)PBT
準1級 8,000円(税込)PBT
2級 5,000円(税込)PBT & CBT
3級 4,000円(税込)PBT & CBT
4級 3,000円(税込)PBT & CBT
統計調査士 5,000円(税込)PBT & CBT
専門統計調査士10,000円(税込)PBT & CBT

4級以外は、CBT試験はPBT試験より+2,000円になっています。
4級のみ、元の受験料が低いので、+1,500円になってます。

2021年以降の変更点

2021年以降の試験では大きく2点の変更がなされます。「CBTへの移行」と「DS試験の開始」です。
前者はコロナなどの社会情勢を加味して、移行がなされたと思われます。そして、後者はDSの人材不足や育成のために新たに始められた試験であると考えられます。

CBTへの移行
2022年以降において、1級以外の試験が全てCBTに移行されることが2020年12月に発表されました(公式HP)。これは、準1級以下のPBTの廃止と、準1級がCBTに適応することを意味します。ここではCBTへの移行について、今までとの主な相違点について説明したいと思います。

今まで2022年以降
PBT実施全種別1級のみ
CBT実施1級,準1級以外1級以外

準1級は、2021年内にCBTに適応されることが発表されているので、準1級は2021年のみPBTとCBTの両方が開催される見込みです。

この表からわかるように、CBT受験者にとっては大きな変更はないと考えられます。PBTを受験予定だった方には、残念かもしれませんがCBTで受けることになります。基本情報技術者試験もCBTを開始したように、資格試験のトレンドなのかもしれませんね。

DS試験の開始
2021年から、DS(データサイエンス)試験が開始されます。社会におけるデータサイエンスの重要性が高まり、時代のニーズに合わせて開催されることになった試験です。統計検定とは異なり、ExcelやPythonなどの実社会でも活用されている内容を問う試験になっています。DS試験は、具体的には3つに分かれており、名称とレベルは下記のようになっています。

  1. DS基礎:大学入試レベル
  2. DS発展:大学教養レベル
  3. DSエキスパート:大学専門レベル

上記からわかるように、難度は「基礎<発展<エキスパート」の順に高くなっています。
試験は全てCBTで行われ、試験の開始は2021年内を予定しています。
DS試験に関しては、統計検定の一種なので試験が開始したら、またご説明いたします。

出題範囲

統計検定の出題範囲は種別によって異なります。各試験の概要を下記に示します。各種別の細かい出題範囲は、リンクから確認してください。

試験の種別試験内容
統計検定 1級実社会の様々な分野でのデータ解析を遂行する統計専門力
統計検定 準1級統計学の活用力 ─ 実社会の課題に対する適切な手法の活用力
統計検定 2級大学基礎統計学の知識と問題解決力
統計検定 3級データの分析において重要な概念を身に付け、身近な問題に活かす力
統計検定 4級データや表・グラフ、確率に関する基本的な知識と具体的な文脈の中での活用力
統計調査士統計に関する基本的知識と利活用
専門統計調査士調査全般に関わる高度な専門的知識と利活用手法

受験者数・合格率

統計検定のPBT試験の合格率についてです。統計検定はPBTの合格率の発表はおこなっているものの、CBT試験の合格率は明らかになっていないです。したがって、ここではPBT試験の結果だけ表示します。

2019年6月16日試験

毎年6月の試験では、下記の種別が試験として実施されています。2~4級はCBTでも受験できるので問題ないですが、準1級はこの日しか受験できませんでした(上述したように、準1級も2021年からCBTに対応します)。合格率を見ると、比較的合格率の高い試験であることがわかると思います。2~4級で落ちてしまった場合は、CBTで受験しなおせるのでCBTを活用しましょう。

検定種別申込者数受験者数合格者数合格率
準1級1,314 853 17921.0%
2級2,7101,938 88345.6%
3級1,9771,6881,16569.0%
4級 409 343 25072.9%

2019年11月24日試験

毎年11月の試験では、下記の種別が試験として実施されています。準1級以外の試験が全て開催されています。1級に関しては、この日しか受験ができません。統計検定の特徴として、1級と準1級の受験者数や合格率が近いことが挙げられると思います。1級の試験は選択式で狭く深い試験なので、幅広い準1級よりも楽だと感じる方が一定数いるためだと考えられます。

検定種別申込者数受験者数合格者数合格率
1級「統計数理」1,285 878 20223.0%
1級「統計応用」1,221 793 12515.8%
2級3,2642,369 98841.7%
3級2,2211,9071,17861.8%
4級 491 422 23756.2%
統計調査士 536 450 24053.3%
専門統計調査士 501 433 14433.3%

QC検定と比較してどうなのか

QC検定についての詳細は割愛しますが、製造業の方だと品質管理検定、すなわちQC検定と比較される方も多いのではないかと思います。筆者自身、学部・修士と統計科学研究室に所属し、品質管理学会で学会発表もしてきたので、両方の資格を見てきました。その観点から資格の差についてお伝えしたいと思います。

結論から申し上げると、統計検定とQC検定は親和性が高いです。具体的には、統計検定2級出題範囲QC検定2級「品質管理の手法」出題範囲は被っている範囲が多くあります。なので、QC検定2級取得者で、統計検定も受験しようか迷っている方は、統計検定の2級から始めると良いと思います。ただ、QC検定より数学チックになるので、より理論的な勉強に力を入れましょう
また、QC検定の1級準1級合格者の方は、多変量解析の範囲も勉強をしているはずなので、統計検定準1級から始めても良いかもしれません。しかし、合格者の中でも品質管理の手法範囲が苦手だったという方や、もう忘れてしまった方は、復習も兼ねて統計検定2級から始めてみてはいかがでしょうか。

反対に、統計検定は持ってるけど、QC検定も取りたいという方は、QC検定の中でも暗記分野に特に力を入れましょう。もちろん、級にも依りますが、品質管理の手法は大体頭に入っているのではないかと思います。

AI人材と統計検定|何級から受ければ良い?

統計検定は多くの種別が存在するので、どこから始めようか迷われる方が多くいると思います。勿論、正解はないのですが2級から始める方が多いです。そこで、2級から受験者のイメージについて説明をしたいと思います。各人によって状態は様々だと思うので、ご自身の都合に合わせて受験してみてください。

2級を受験

受験者イメージ
  • 理系学生 or 理系卒社会人
  • 統計の勉強をしたことがある人

AI人材を志望する方で統計検定を受験される方は、多くの場合で2級から受けることになると思います。理由は2つあります。

  1. AI人材を志望する方は理系出身の方が多く、数学に強いから
  2. CBTを実施しているため、受験が容易にできるから

統計検定2級であれば、そこまで難度の高い数学は登場しません。筆者の通っていた大学では、学部1年の春学期で習う範囲でした。なので、理系の方であればそこまで苦労しないかと思います。

そして、CBTの実施ことも理由の1つです。2級より難度の高い準1級と1級は、PBTのみで年に1度しか受験できないので、まずは2級から始める方が多くいます。2021年からは準1級もCBTに対応する予定なので、2級から始める方は減るかもしれないですね。

準1級を受験

受験者イメージ
  • 統計検定2級合格者
  • 大学の専門科目で統計学を履修していた人
  • 業務で統計学を多用される人

AI人材志望で、統計検定準1級をいきなり受験される方は少ないと思います。理由は、主に2点あります。

  1. 2級と比較して、試験範囲がかなり広範になるから
  2. 試験が年に1度しか開催されないから

準1級はかなり広範な勉強が必要となります。受験者によっては、「1級よりも範囲が広くて厳しい」といった感想を持つ方がいらっしゃるほどです。なので、いきなり幅広い準1級の受験をされる方は少なく、いてもかなり統計学に明るい人です。

そして、準1級は年1回しか開催されないので、なかなか予定が合わないといった方も多くいたのではないかと思います。本稿にて、再三記載しておりますが、2021年から準1級もCBTに対応するので、受験者は増加傾向にあると考えられます。

1級を受験

受験者イメージ
  • 統計検定準1級合格者
  • 大学で統計学の研究をしていた人
  • データサイエンティストや機械学習エンジニア

AI人材志望で、統計検定1級をいきなり受験される方は少ないと思います。理由は、主に3点あります。

  1. 準1級よりも深くなり、試験も2つあるから
  2. そもそもAI人材になっている
  3. 試験が年に1度しか開催されないから

1級は名前の通り、試験の難度が高いので、受験者の母集団そのもののレベルが高いと考えられます。それでいて試験も2つあり、20%前後の合格率なので、非常に難度の高い試験となっています。楽な点を強いて挙げるなら、選択問題なので自分の専門領域で試験を受けることが可能な事です。

また、既にかなりAI人材と呼ばれる存在であることが多いです。上記に挙げたように、難度も高く受験者の職業も統計に関わる職種であることが考えられます。ゆえに、AI人材になりたいと考えている人には難しいのではないかと思います。

そして、試験は年に1回のPBTで行われています。CBTに対応することが決まっている準1級と異なり、今後も年に1回のままであれば、AI人材育成といった観点であれば、やや難しいように感じられます。

参考書

統計検定自体が種別が多いので、ここでは一般的に基本情報技術者試験でよく利用されている書籍について、ご紹介したいと思います。

日本統計学会公式認定 統計検定 公式問題集

統計検定の公式過去問題です。

長所
長所は、公式本で全ての種別に対応していることです。また、統計検定は最近の過去問題しかHPに掲載されていないので、この問題集を用いることで古い過去問に取り組むことができます。

欠点
欠点は、直近の2年分しか掲載されていないことです。沢山勉強をしたい方にはやや不満かもしれません。また上述したように公式HPに直近の過去問は掲載されています。詳しくは、このサイトをご確認ください。

https://www.amazon.co.jp/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E7%B5%B1%E8%A8%88%E5%AD%A6%E4%BC%9A%E5%85%AC%E5%BC%8F%E8%AA%8D%E5%AE%9A-%E7%B5%B1%E8%A8%88%E6%A4%9C%E5%AE%9A-1%E7%B4%9A%E3%83%BB%E6%BA%961%E7%B4%9A-%E5%85%AC%E5%BC%8F%E5%95%8F%E9%A1%8C%E9%9B%86-2018%E3%80%9C2019%E5%B9%B4/dp/4788925516/ref=pd_bxgy_img_2/355-2002781-4515014?_encoding=UTF8&pd_rd_i=4788925516&pd_rd_r=ddc0362b-8c27-46f3-a38e-5054b0b905bd&pd_rd_w=HDoGY&pd_rd_wg=CHfc7&pf_rd_p=e64b0a81-ca1b-4802-bd2c-a4b65bccc76e&pf_rd_r=95DDW6QVP0CSM1N12SD8&psc=1&refRID=95DDW6QVP0CSM1N12SD8

日本統計学会公式認定 統計学

統計検定の公式参考書です。

長所
長所は、公式本で全ての種別に対応していることです。特に、1級の参考書は、幅広く書かれており、少し復習したいときの辞書として活用する事も可能です。

欠点
公式本以外にも多くの参考書があることです。2級であれば、多くの本が出版されていますし、そもそも統計学の本は多くあるので、試験範囲を間違えなければ、公式本に頼る必要はないと考えています。

統計検定に関する声

Twitter上での統計検定1級,準1級,2級に関する声です。

https://twitter.com/nan_bayesstat/status/1355766889973043201?s=20

まとめ

以上で、統計検定についての説明を終わりにします。
社内のAI人材を育成したい担当者や、統計検定に興味のある方の参考になったら幸いです。
統計検定2級に関する記事は多く存在する(例えばこの記事)ので、色々参考にしてみてください。

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