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アカウントベースドマーケティング(ABM)とは
アカウントベースドマーケティング(ABM)とは、マーケティングと営業が協力して、お互いに特定した価値の高い顧客に最適化された体験を提供する、集中的な成長戦略です。
ABMでは、価値の高い顧客を個別市場として分析してアプローチします。バイヤーズ・ジャーニーを作成し、すべてのコミュニケーション、コンテンツ、キャンペーンを特定の顧客に合わせて行うことで、より大きなROIと顧客ロイヤルティの向上を実現します。
ABMのメリットが知りたい方は、以下記事を参照してください。
アカウントベースドマーケティングの概要がわかったところで、ABMの戦術を解説していきます。
アカウントベースドマーケティングに必要な戦術
アカウントベースドマーケティングで必要な取り組みは、以下の通りです。各戦術について、詳しく解説していきます。
- ABMに関する組織的連携
- 社内にABMチームを設立
- 重要顧客を選び一覧化
- マーケティング担当と営業担当が共にABM戦略を策定
- 重要顧客と関係を作る
- 重要顧客のキーマンと強い関係を構築
- ABMの結果を測定・分析し、必要な改善を実施
1. ABMに関する組織的連携
アカウントベースドマーケティングで最も重要かつ簡単な戦術が「組織的なABM連携」です。
ABMでは、自社に重要顧客に対して一貫した体験を提供し、可能な限り効率的かつ合理的な戦略とする必要があり、社内全体の協力が必要不可欠です。例えば、マーケティング部長と営業部長が連携し、以下認識を共有する必要があります。
- ABM戦略に携わるマーケティングと営業のメンバー
- 重要顧客一覧
- 重要顧客のキーマン・その他ステークホルダー
- 重要顧客に対する自社の差別化ポイント
- ABM戦略の予算とリソース
- ABM戦略の目標とKPI
2. 社内にABMチームを設立
まず、ABM戦略に特に携わるメンバーを明確にする必要があります。
マーケティング部長と営業部長をABM戦略を議論するリーダーとして、それ以外に、重要顧客にに完全に特化したマーケティング担当者と営業担当者を最低1人ずつ設定しましょう。
この担当者は、重要顧客向けのコンテンツを作成・公開し、各顧客のキーマンと商談を管理・成立させる仕事をします。目安としては、チームの規模を10人以下の営業担当者と1人程度のマーケティング担当者に絞るとよいでしょう。
マーケターと営業担当者だけでなく、営業委託会社等、ABM戦略を認識して連携すべき社内のキーパーソンを特定することも忘れないでください。
3. 重要顧客を選び一覧化
時間とリソースを投資するために、重要顧客が誰であるかを明確にする必要があります。以下は、その方法に関する推奨事項です。
- 重要顧客の概要を検索するための条件(会社の規模、業界など)を設定
- 上述で設定した条件に当てはまるリードをフィルタリングする。CRMを利用している場合、理想顧客としてタグ付けされるようにワークフローを作成
- 現在の重要顧客との取引内容を確認し、取引の特徴(業界、企業規模、金額など)を整理する。その条件に当てはまる重要顧客を特定
- まず特定業界や地域の顧客を設定し、初めに取り組むユーザを設定する。
HP等、インバウンドコンテンツを利用し、エンゲージメントを得ているにもかかわらず、取引が成立していない主要企業やリードが理想 - 新しく取引を開始するユーザの中で、ベンチマークとなるユーザ(他案件に展開できる)を整理
- 営業担当者1人あたりの担当顧客数は10以下
4. マーケティング担当と営業担当が共にABM戦略を策定
次に実施するのはABM戦略の策定です。今までの文章で、アカウントベースドマーケティングはチームで行うものだとご理解いただけたと思いますので、必ずマーケティング担当と営業担当の協力が必要です。
ABM戦略策定時には、以下観点で自身に質問を投げることがポイントです。
- 重要顧客のキーマンは誰か?(主要メンバーや関係者など)
- アカウントのキーマン(およびその他のステークホルダー)を惹きつけ、関係構築をするためにはどのようなコンテンツが必要か?
- 重要顧客の社員とコンテンツを共有するために、どのチャネルを使うか?
- 私たち)マーティング担当と営業担当者)が、戦略と販売プロセスの各プロセスにおいて、どのようなサポートを提供するのか?
その他、マーケティングとセールスがABM戦略を成功させるためのヒントをいくつかご紹介します。
- 製品やサービスの価値提案や差別化ポイントについて、マーケティング担当と営業担当の認識をアカウントごとに一致させること
- それぞれの顧客に合わせて最適化したコンテンツ作成、もしくは既存コンテンツ更新を実施
- アカウントごとに、割り当てられたリソースと予算を具体化させる
5. 重要顧客と関係を作る
次に、ターゲットとする重要顧客のキーマンと連絡が取れるように、関係作りを行いましょう。
質の高い顧客を獲得するには、顧客に合わせてコンテンツをパーソナライズすることが重要です。そうすることで、顧客との関係を深め、顧客満足度を高めてブランド化し、顧客同士で紹介される確率を最大限に高めることができます。
ここでは、重要顧客との関係を作るための推奨事項をご紹介します。
- ソーシャルメディア上で重要顧客と交流(例:アカウントが利用しているプラットフォームを特定し、グループに参加し、参加している会話に貢献し、作成した有益な関連コンテンツを共有する)
- ポッドキャストやビデオシリーズを制作し、そのアカウントのリーダーを特別ゲストとして招待
- 対象となるアカウントのカンファレンスやイベントのスポンサーとなる
- ソーシャルメディアでダイレクトメッセージを送り、メールやポストでダイレクトメールを送る
- 顧客のニーズ、質問、懸念事項に合わせてカスタマイズしたランディングページを作成
- エンゲージメントやインタラクションのためのギフトを提供(賞品、スワッグ、割引コードなど)
- ブログ記事などのコンテンツを、各アカウントに関連するチャネル(Webサイト、ソーシャルメディア、雑誌など)に配信
- 場所、スキル、職種など、さまざまな要素をターゲットにした広告キャンペーンやソーシャル広告を作成
- 現在の連絡先、アカウント、顧客に紹介を依頼
- 顧客をイベントに招待し、参加者に同僚を誘ってもらう
6. 顧客のキーマンと強い関係を構築
重要顧客と関係を作ることができたら、その顧客の購買委員会と強い関係を築く必要があります。このような関係を築くには、チームで数ヶ月から数年かけた取り組みが必要です。この取り組みは、お客様に喜んでいただくためのものであり、喜びのプロセスを止めることはありません。
ここでは、お客様の購買委員会と強固で長期的な関係を築くための方法について考えてみましょう。
- ニーズに合わせた対話や関係を通じて、自社のビジネスや製品・サービスが顧客にもたらす価値について教育
- ケーススタディなどのパーソナライズされたコンテンツを作成・共有し、各顧客の期待を上回る方法や課題を解決する方法を証明
- 可能な限り1対1でコミュニケーションをとり、バイイングコミッティーのメンバーに自分が唯一の優先事項であると感じてもらう
- アカウントメンバーとのイベント(夕食会など)を開催し、ブランドやチームを個人的に知ってもらう
- タイミングの良いミーティングを計画的に実施
7. ABMの結果を測定・分析し、必要な改善を実施
上記の戦術を実行し、完了したら、成果測定が重要です。ABMの結果を確認・分析することで、ギャップや戦略の変更が必要な部分を特定することができます。これにより、ビジネス、マーケティング・セールスチーム、アカウントにとって、戦略をより効果的なものにすることができます。
以下は、自社の状況を把握するための一般的なアカウントベースドマーケティングのKPIの例です。
- 案件創出
- アカウントに追加された新規顧客数
- アカウントとの関係
- 成約までの時間
- 増収
- 成約した案件の割合
アカウントベースドマーケティングでより良い成長を
アカウントベースドマーケティングは、決して難しいものではありません。これまでに紹介した戦術に取り組み、マーケティングチームと営業チームが一緒に使うことで、価値あるアカウントをより効率的に特定し、より良い成長を遂げることができます。
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